居間での日常 「蘭、何観てんだ?」 鬼の様に出された課題に頭を抱えつつも、やっと一段落付いた新一が居間へとおりて来た。 長い休学は、留年か膨大な課題かの二択を迫られる結果で終わりを告げ、新一は毎日机にへばり付く様に課題に勤しんでいる。 蘭と言えば新一の課題の合間をに差し入れをしたり夕飯を作ったりと、相変わらず工藤邸に通いつめ、それ以外は新一の邪魔にならないように居間で自分の予習や宿題をしたりしていた。 ソファに座り、クッションを抱き締めながらテレビを見ていた蘭の瞳はうっすらと涙を浮かんでいた。 その様子が気になって、そわそわしながら画面を覗きこむ。テレビ台の中のDVDプレイヤーの電源が赤く点灯しているのも見えた。 「あー・・・これね」 呆れ返った様に蘭の隣りに勢い良く腰を下ろした。 画面には薄い赤色の服の少女が必死に何かを訴えようとしている様子が描かれていた。鳥の羽をイメージした乗り物で風に乗る様に空を飛んでいる。場面が変われば沢山の赤い目を持った巨大な虫の怪物が現れた。 「アニメでこんなに泣くなよなぁ」 新一は蘭の後頭部を右手で軽く叩いた。それとは逆の手でDVDのケースを持ち上げる。 「風の谷のナウシカ・・・ね」 気付けば画面の中の少女の服の色が青く変わっている。 「新一はこれを見て何も思わないの・・・!?」 「せっかく見てるんだから静かにしてよ」の意味も込めて、目を真っ赤に腫らして蘭が自分の方をジロリと睨んだ。腫らした潤んだ目と、紅潮した頬。口を尖らせた怒った蘭も可愛いな、と心の中で新一は思う。 「何も思わない訳ないだろ?これだけの巨編だし」 頭を切り替えて、蘭の言葉に答える。 「俺だって初めてこれ見た時、子供ながらにすっげー感動したんだからさ」 「何回見ても泣いちゃうよ・・・」 再び画面視線を向けた蘭を見つめながら、新一は自分がこの映画を初めて観た時の事を思い出した。 (ばーろ、スタッフロール観て驚いたんだよっ・・・!) 不貞腐れてそっぽを向いた。 (自分の母親が主演してる映画なんて恥ずかしくて何回も観れるかよ・・・) ジト目でDVDケースの裏面を見やる。 『声の出演 ナウシカ:藤峰有希子』 「おばさま、やっぱり素敵よね」 「・・・ぁあ」 「素直じゃないんだから」 はっきりしない新一の答えを聞いて、蘭が、ハンカチを片手に呟いた。 fin *********************** 拍手お礼SSとして掲載してました。 声優ネタ。 コナン界のナウシカの声は絶対『藤峰有希子』が演じていると信じてやみません。 島本須美さん本当素敵なお声です〜vv |
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