「confession」続編です。ご注意ください。
































 いずれこの感情は友情に変わると信じてた。
 この恋は諦めて吹っ切ろう、でも振られてしまっても友達としてもう一度一緒にいたい、そう思ってた。
 きっと貴方と一緒にいるうちに、この感情は再び友情に戻っていくと信じてた。

 でも貴方は私の前から姿を消しまった。
 一緒にいたかった。沢山思い出作りたかった。別れが辛い。・・・会いたい。

 そんな風に貴方の事ばかり考えているうちに──いつしか、貴方の事が忘れられなくなってた・・・











8years











“PiPiPiPiPi…”

 目覚まし時計が鳴って、少女は慌てて毛布の中から起き上がった。
 吉田歩美、15歳。好奇心旺盛なあの頃より少し大人になった少女がそこにいた。

 歩美は制服に着替えると、チェストの上に飾ってある写真に目をやり、優しく見つめる。
「行ってきます。コナン君、哀ちゃん」
 そう言って手を振ると歩美は部屋を飛び出した。

 歩美が手を振った、チェストの上の写真。それは少年探偵団で撮った想い出の写真だった。でもそこに写っている二人だけはもう二度と会う事は出来ない。なぜならその二人は既に元の姿に戻っていたからだ。──けれど歩美はそれを知らない。コナンも哀も、外国の両親の元で暮らしていると信じたままだった。

 工藤新一が江戸川コナンになったあの時から、歩美が江戸川コナンを好きになってから、8年の月日が流れていた。










「おはよ、歩美」
「おはよう、今日テスト返って来るよね」
 今日は一学期の実力テストの返却日だ。教室に入ってすぐ、いつものようにクラスメイトと挨拶を交わす。
「でも歩美、私今回は数学やばいかも」
「めずらしいね、愛がそんな事言うなんて」
「親に勉強を必要以上に迫られてるからやってるだけよ」
「よく言うよーっだ!学年トップのくせに」
 と、歩美と愛は笑いあう。愛は、歩美の中学入学してからの友人で、8年前に出会った灰原哀に良く似ていた。髪の毛は茶色いストレートヘアだったが、顔も、性格も雰囲気も似ている。

「歩美ちゃん、どうですか?数学僕と勝負しません?」
 二人の後ろから話し掛けたのは光彦だった。元太は、隣のクラスだ。
「ごめん、私はパス。集中できなかったの」
 その返答に光彦が残念そうな表情をすると、愛が代わりに口を開く。
「だったら私が相手になるわ、円谷君」
「いいですよ、数学なら勝機がありますからね」
 光彦と愛は二人で成績の一位と二位を争う程だ。
「でも歩美ちゃん、どうして今回は集中出来なかったんですか?」
 歩美は鞄から教科書を取り出しながら、少し寂しげに眉をひそめた。
「え?うん・・・考え事してて」
 苦笑しながら、席に着く。
「考え事?」
「うん・・・ほら、4日はコナン君の誕生日でしょ?だから、色々と・・・」
 光彦にとっては、歩美の口から出た、久々に耳にした名前だった。勿論、彼は忘れようとしても忘れられる人物ではなかったが。
「懐かしいですね、もう随分経ちましたから。灰原さんも」
 何気なく笑顔で、光彦が言った。彼にとっても彼は親友だ。

「“コナン”って、例の歩美の初恋の?」
 愛が思い出したよう会話に混ざる。その名前は歩美の口から聞いたことがある。
「うん、カッコ良くて、勇気があって、物知りで優しくて、推理力抜群の文句無しの名探偵!」
「小学一年生の時に?美化し過ぎなんじゃない?」
 贔屓目で見ているのかしら?愛は、そんな歩美の心情を考える。
「ううん、本当に凄かった。暗号も、殺人事件だって・・・」
「まさか」
 それは当事者でなければ、信じがたい、小説の中の話かもしれない。
「本当ですよ!僕ら、彼と『少年探偵団』なる物を結成しましたが、彼のお陰で警察から感謝状貰った事もありましたから」
「へえ・・・」
「僕としては何でも出来る彼に嫉妬した事もありましたけどね」
 懐かしさを噛締めて、光彦は「へへ」と少し照れ笑いを浮かべた。

「それと、憧れだった哀ちゃん」
「え?」
「“愛”じゃなくて『哀愁』の“哀”って書くんだけど、きつい所もあるけど実は優しいお姉さんみたいだったの。あ、もちろん愛も私にとって憧れの存在だからね!」
 驚いた愛を見て、慌てて付け足す。
「彼女も凄い知識を持ってました。物理学やや医学や生物学なんかにかなり。今思うと小学生にしてはおかしいですよね」
 彼らを思い出し、懐かしさと同時に、どこか寂しさを感じてしまう。
「で、彼ら今は何処にいるの?」自分の知らない人達について、愛に不思議そうに問われた。
「いなくなっちゃった。外国の両親の所に帰る、って・・・仕事の関係で住所は教えられないって・・・」
 歩美の言葉と同時に、始業チャイムが鳴り響いた。




 そう、二人とは、あれから一度も会っていない。






















next

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携帯サイトに掲載していた小説を加筆修正して更新;;短編「confession」の続編(っていうか設定を引いています)
歩美ちゃんを中心とした少年探偵団のお話。新一、蘭、哀との関わりの中で成長する彼ら。 しかし大分前の話なので文体が違くて直すのにも一苦労・・・そのまま載せるのはしのびないし、話は結構お気に入りなので載せますvv 結構長いですね・・・携帯で100P位ですよ・・・!今は短編ばっか書いてるのに。
それでは最後までお付き合いくださいませ。
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